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一学期は下の子をおんぶして毎日学校に行き、勉強を見ながら自分も一緒に勉強して帰りました。
学校の教育方法も口話法に変わったときだったので、一生懸命に大きな口をあけて話をするようにしました。本人も努力し、私とは日常会話は大分できるようになりました。
学校では友だち同志は手話を使っていましたが、家では全く使う必要もないので、私は覚えずに今日まできてしまいました。いまは手話は耳の聞こえない人の言葉となったので、覚えておけばよかったと思います。
小さかった息子も小学部、中学部、高等部を元気で無事に卒業できました。「もっと勉強したい」と言ったけれど、いまのように、上の学校に進む人も少なく無理と諦め、いまの会社に就職することに決めました。可哀相にも思いましたが、一方でとても嬉しく思いました。
息子と一緒に会社へ行ったら、社長さんや先輩のお二人が、とても優しく迎えてくださったので本当に安心しました。
会社に行くのが嫌だとか、仕事が嫌だと言ったことは一度もありませんでした。お酒はおつき合い程度、煙草も吸うこともなく、暇があれば本を読むのが大好きな息子です。
会社に入って今年で二十五年になりました。会社から表彰されて二人分の布団をお祝いに頂き、夫婦で暖かいと喜んでおります。
お友だちが自動車の免許証を取り、会合や遊びに連れてもらっていました。ある日、娘から、「お母さん、兄ちゃんがお母さんが心配するから黙っていてと言われたけれど、自動車の運転

 

 

 

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